第3章 お金を払って建物や部屋を借りる
第三章 借家

第4章 借地のことで裁判をする場合
第2章 お金を払って土地を借りる
第1節 お金を払って建物を借りる契約の結び直し
第一節 建物賃貸借契約の更新等
建物や部屋の賃貸契約を結び直すには
- 第26条
- 借家の契約期間が満了となる際に、その契約を円満に終えるためには、次のどちらかを契約満了6ヶ月から1年前に通知する必要があります。
- 契約を更新しないという意思
- 次は条件を変えなければ契約を更新しないという意思
- 2
- たとえ、契約を更新しないと通知をしていたとしても、そのまま借り主が部屋や建物を使い続けた場合、契約を円満に終えるためには手遅れになる前に待ったをかける必要があります。
待ったをかけていない場合も、契約期間の規定がない以外はこれまでと同じ条件で契約は更新されることになります。 - 3
- 部屋や建物を又貸しになっている場合は、部屋を又借りしている人が使い続けた場合でも、借りている本人の場合と同じように手遅れになる前に待ったをかけないと契約は更新されることになります。
原文
26
建物の賃貸借契約が切れたらいつまで
- 第27条
- 貸主から建物の賃貸借契約を解約したいと申し入れをした場合、申し入れをした日から6ヶ月間はその建物や部屋を使い続ける権利が続きます。
- 2
- その6ヶ月を超えて使い続けようとした場合、契約を円満に終えるためには手遅れになる前に待ったをかける必要があります。
待ったをかけていない場合は、契約期間の規定がない以外はこれまでと同じ条件で契約は更新されることになります。
又貸しの場合も同様です。
原文
27
貸主からもう貸さないというために
- 第28条重要
- 貸主から建物や部屋の賃貸借契約を解約したいと申し入れをした場合、次のような正当な理由がなければ解約は認められません。
- 貸主がその建物や部屋をどうしても必要とする事情
- 契約期間中の借り主の使用状況や賃料の支払状況
- 人に貸す建物や部屋としてどうなのか
- 建物や部屋を貸さない代わりにお金でなんとかしようとしているかどうか
原文
28
建物の賃貸契約期間
- 第29条
- 建物や部屋の賃貸の最短契約期間は1年間です。
それよりも短い契約期間の場合は、契約期間を定めていない契約とみなされます。 - 2
- 民法第604条には、一般的な賃貸の最長契約期間は20年間で、それより長い契約を結んだとしてもそれは20年契約ということになる、としています。
しかし、建物や部屋の賃貸契約に関してはこの規定にとらわれずそれよりも長い期間を設定することができます。
原文
29
絶対認めません
- 第30条
- この節にある借家の規定に関して借り主側に不利な特約をつけた契約を結んでも、それは絶対認められません。
原文
30
第2節 建物を返さなければならなくなるのは
第二節 建物賃貸借の効力
鍵を受け取ったら借り主
- 第31条
- わざわざ登記をするまでもなく、貸主から建物や部屋の鍵を受け取った人が、部屋の借り主として認められます。
- 2
- 民法の、他人のための権利がついてて売買をやめることに関する規定(第566条第1項)と、売買をやめることができる期限に関する規定(第566条第3項)は、建物や部屋の賃貸借の場合にも同じように適用します。
- 3
- 賃貸借をやめることになった場合、借りた建物や部屋を返すことと、払ったお金を返してもらうことは同時に行わなければなりません。
詳しくは、第533条の規定を同じように適用します。
原文
31
賃料の変更
- 第32条重要
- この法律では、一定の期間であれば賃料を変更しない、という特約を有効とします。
しかしこの特約をつけない場合、不動産にかかる税率や課税標準額が変わったせいで税額が変動したら、それ以降は賃料の変更が認められます。
経済情勢が変わったり、近隣にある似たような不動産の賃料相場が変わった場合も、それ以降の変更が認められます。 - 2
- 貸主から来た賃料の値上げ要請に対して納得できない場合は、ひとまず自分が納得できる金額を支払い続けてもかまいません。
もし裁判で「値上げ不適当」ということになり、自分が支払った額が適当だということになれば、それですべてOKということになります。
しかし裁判で「値上げが適当」ということになったら、自分が支払った額との差額の支払いはもちろん、年利10%の利息も支払わなければなりません。 - 3
- 借り主から来た賃料の値下げ要請に対して納得できない場合は、ひとまず自分がなっとくできる金額を請求し続けてもかまいません。
もし裁判で「値下げ不適当」ということになり、自分が請求してきた額が適当だということになれば、受け取った額をそのまま収入にしてもOKということになります。
しかし裁判で「値下げが適当」ということになったら、自分が受け取った額との差額の返還はもちろん、年利10%の利息も合わせて返還しなければなりません。
原文
32
造作は買い取って
- 第33条
- 建物や部屋を借りている人が、あらかじめ貸主の同意を得た上で畳や建具などの《造作》を自分で設置した場合、賃貸借契約が満了したり、解約によって契約が終了した際にはそれを貸主に時価で買い取ってもらうように要請してもかまいません。
もともと貸主から借り主が買い受けた《造作》についても同様に買い取ってもらうように要請できます。 - 2
- 又借りしている人の造作についても同じように時価での買い取りを要請できます。
畳や建具の他にも、部屋や外装の仕上げのために取り付けられる天井や床、間仕切り壁、階段、敷居、窓枠やドア枠、作り付け家具などのことを《造作》といいます。
原文
33
又借りしている人の契約が優先
- 第34条
- 借り主と貸主の間では建物や部屋の賃貸借契約を終わりにしましょうということになっても、又借りしている人がそのことを知らされていなければ、そのまま借り続けることが認められます。
- 2
- だからといって、貸主から契約が終わることになったことが又借りしている人に通知されたら、それから6ヶ月たっと借り続けることはできなくなくなります。
原文
34
借地の上の借家の借り主には
- 第35条
- まもなく賃貸借契約が満了する借地の上に、まだ契約満了まで1年以上期間が残っている借家の貸主は、少なくとも1年前までに借地の契約が満了すること借り主に伝えておいて借地の返還に備える必要があります。
それを怠ると、建物の借り主の権利が優先されることになるので、裁判所に訴えられたら、最長1年間は建物の借り主にはそこにいつづけることができる権利が認められることになります。 - 2
- もし裁判所が建物の借り主に所定の期間中は建物に居続ける権利を認めた場合、その期間が終了したら借家の賃貸借期間も終了ということになります。
原文
35
未婚の夫婦の間でも
- 第36条
- 必ずしも正式な夫婦でなくても、必ずしも本当の親子でなくてもそれっぽく振舞って同居していたならば、本当の相続人と同じようにそこを借りて住み続ける権利が認められます。
ただしお亡くなりになった方には他に正式な相続人がいる場合は、少々事情が異なりますので、ここでは触れません。
一方、借り主がお亡くなりになったことを知ってから1ヶ月以内に「それは困る」と通知したら、その人に住み続けてもらっては困るという貸主の意思が優先されることになります。 - 2
- 亡くなった借り主が預けた保証金の返還先や、賃料などの滞納があったら、それらは全てそこに住み続ける人が引き継ぐことになります。
原文
36
絶対認めません
- 第37条
- 鍵を受け取ったら借り主と認めることに関する規定(第31条)、又借りしている人の権利が再優先であることに関する規定(第34条)、借地の上の借家の借り主に対する規定(第35条)に関して、借り主側に不利な特約をつけた契約を結んでも、それは絶対認められません。
原文
37
第3節 期限を決めて建物や部屋を借りる方法
第三節 定期建物賃貸借等
《定期建物賃貸借》の契約を結ぶには
- 第38条
- 契約書を作って、定めた期間が終了したら絶対にそのまま延長しないという条件で、建物や部屋の賃貸借契約を結ぶことができます。
この特約付の賃貸借を《定期建物賃貸借》といいます。
この場合は借り主の不利になることは認めないという規定(第30条)や、建物や部屋の最短賃貸借契約は一年以上という規定(第29条第1項)は無視してもかまいません。
契約書は、公正証書がおすすめですが、公正証書でなくてもかまいません。 - 2
- 《定期建物賃貸借》の契約を結ぶ場合は、この契約が満了したら更新はないということを貸主側から借り主側に書面を用意して説明をする必要があります。
- 3
- もし説明をせずに契約を結んだ場合、借り主が望めば契約満了しても更新をする必要があります。
- 4
- 《定期建物賃貸借》の契約において、契約満了から1年前から6ヶ月前までの期間を《通知期間》といいます。
通知期間中に、《定期建物賃貸借》により契約が終了することを伝えていないと、契約が終了した際に借り主に「出て行ってくれ」とはいえない状態となります。
とはいえ《通知期間》が経過した後でも、契約が終了することを借り主に伝えたら、その後六ヶ月を経過した時点で「出て行ってくれ」といえる状態になります。
なお、契約期間が一年未満の場合には、《通知期間》を設ける必要はありません。 - 5
- 居住用の建物や部屋で、床面積が200㎡未満の建物や賃貸借する部分の床面積が200㎡未満であれば、《定期借地権》で借りたとしても、どうしてもそこに住み続けられない事情ができたら、貸主に対して解約をもちかけることができます。
どうしても住み続けられない事情とは、転勤、病気や怪我の療養、親族の介護などです。
解約を持ちかけた場合、その日から1ヶ月目以降には解約を成立させることができます。 - 6
- 《通知期間》に関する規定(第四項)と、居住用の建物をどうしても住み続けられなくなった場合の規定(第五項)に関して、借り主側に不利な特約をつけた契約を結んでも、それは絶対認められません。
- 7
- 《定期借地権》での賃貸借契約の場合は、一般の賃貸借の場合の賃料の変更に関する規定(第32条)とは異なる特約を結ぶことができます。
原文
38
取り壊しが決まっている建物を借りるには
- 第39条
- 取り壊しが決まっている建物を取り壊しの時まで借りる場合は、たとえ借り主にとって不利な条件に見えても取り壊しまでに退去するという条件をつけることが認められます。
- 2
- 取り壊しが決まっていることは書面で借り主と契約しなければ取り壊しまでに退去という特約は有効になりません。
原文
39
一時的に借りる場合は
- 第四十条
- 一時的に建物や部屋を借りたことが明らかな場合は、主に借り主を保護することを目的とするこの章の規定を適用する必要はありません。
原文
40
第4章 借地のことで裁判をする場合
第2章 お金を払って土地を借りる
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