第4章 借地のことで裁判をする場合
第四章 借地条件の変更等の裁判手続

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第3章 お金を払って建物や部屋を借りる
どこの裁判所の受け持ちか
- 第41条
-
次の規定に関わる借地権がらみトラブルの裁判は、その土地を管轄する地方裁判所で行います。
- 借地に建てる建物を建の問題(第17条第1項)
- 借地の建物の増改築の問題(第17条第2項)
- 又貸しの場合の増改築の問題(第17条第5項)
- 契約更新後のやむをえない増改築の問題(第18条第1項)
- 借地の建物のオーナーが替わる場合の問題(第19条第1項)
- 裁判所にオーナーが替わることを認めてもらうための問題(第19条第3項)
- 競売して手に入れた建物を地主に認めてもらうための問題(第30条第1項)
ただし、当事者の間で合意があれば、その土地を管轄する簡易裁判所で裁判をしてもかまいません。
原文
41
非訟事件手続法の例外と最高裁判所規則
- 第42条
-
借地権絡みのトラブルに関する《非訟事件》の場合は、非訟事件手続法で調査や呼出し、告知のための費用を国が立て替えると規定した非訟事件手続法第27条の規定は適用することはなく、当事者が負担しなければなります。
さらに、非訟事件として検察官が立ち会う必要がない(非訟事件手続法第40条)一方、非訟事件だからといって話し合いが決着する前に訴えを取り下げる(非訟事件手続法第63条)ことができません。 - 2
- 借地借家法の定め以外に、借地権絡みのトラブルに関する裁判に必要なことは最高裁判所規則で定めます。
裁判所に絶対的な判決を下してもらう《訴訟事件》に対し、裁判所のアドバイスを聞いて当事者が納得いく妥協点を相談するために訴え出ることを《非訟事件》といいます。
原文
42
裁判所に呼び出してもらうには
- 第43条
- 借地権がらみトラブルについて裁判所に申し立てをすると、裁判所側からもめてる相手を呼び出してもらうことができます。
- 2
- 借地権がらみトラブルについて裁判所に申し立てをするには、その趣旨と理由を記載した書面で行います。
- 3
- 借地権がらみトラブルについて裁判所にその申し立てが却下されても、一定期間内なら不服を申し立てることができます。
“一定期間内に不服を申し立てること”を《即時抗告》といい、裁判所が出した結論を先延ばししたり、くつがえすチャンスをもらうことができる場合があります。
原文
43
裁判手続きの代理人になれるのは
- 第44条
-
借地権がらみトラブルについて裁判を行う場合、当人の代理で手続きをすすめることができるのは次の人たちに限られます。
原文
44
手続き代理人にできること
- 第45条
- 借地権がらみの裁判に対して委任されたら、その案件に参加したり、強制執行や保全処分に関わることを行ったり(非訟事件手続法第23条第一項)、借り主が替わることの承認の申し立て(第19条)に参加することが認められます。
- 2
- 実際に前項のような強制執行や承認の申し立てに関するケースで裁判に関わるためには、改めて個別に具体的な委任される必要があります。
“裁判に関わることをまとめてお願いします”という一般的な《委任》に対して、“具体的に裁判で何々をするようお願いします”というように改めて具体的に委任されるのが《特別の委任》です。
原文
45
記録の閲覧
- 第46条
- 当事者はもちろん、裁判所から見て一応利害関係者だと判断された人は、借地権がらみトラブルの裁判に関する記録を閲覧させてもらったり、裁判の記録のコピーや、《正本》《謄本》《抄本》を発行してもらったり、裁判内容の証明書を発行してもらうよう裁判所の書記官に請求することができます。
- 2
- 裁判所の記録が文章ではなくて音声や映像の記録だった場合(民事訴訟法第百九条)も、当事者らはコピーを作って渡してもらうように請求することができます。
“一応それっぽい”と判断することを《疎明》といいます。
裁判所が保管すべき唯一無二の記録を《原本》といい、それを“書き写したりコピーすること”を《謄写》といいます。
原本を作る際に同じものを複数作っていたら、これを《正本》といいます。
原本をそっくりそのまま全て謄写したものを《謄本》といい、一部だけを謄写したものを《抄本》といいます。
原文
46
鑑定委員になれるのは
- 第47条
- 借地料などがいくらが適正なのかを鑑定する委員会には少なくとも3人以上の専門家が委員として参加します。
- 2
- 鑑定委員になれるのは、事件ごとに裁判所に指定された下記に該当する人が務めることになれます。
- 一
- 地方裁判所から毎年あらかじめ選ばれる専門知識を有する人
- 二
- 裁判に関わる当事者が合意する人
- 3
-
鑑定委員として裁判所に来るときは、旅費や宿泊費そして日当がもらえます。
これらの金額は裁判所規則で決められています。
原文
47
他にももめてる土地の裁判は
- 第48条
- 借地権がらみトラブルで裁判中に、その土地に関して借地権とは別の権利に関する裁判をしていたら、その裁判の片がつくまで裁判がストップすることになります。
原文
48
筋違いの申し立てには
- 第49条
- 借地権がらみトラブルを申し立てても、その内容が筋違いだった場合は、事情を聞いてもらうまでもなく却下されます。
原文
49
申立書を送ること
- 第50条
- 申し立てが却下されない限り、借地権がらみトラブルを申し立てをしたら、裁判所から訴えた相手に申立書が送られます。
- 2
-
申立書が訴えられた相手に届かない場合や、申立書を送付するための費用を支払わない場合は、非訟事件手続法の次の条文を同じように適用します。
- 申立書の内容ちゃんと書き、手数料を支払うこと(非訟事件手続法第43条第4項)
- 書き直さない場合は却下されること(非訟事件手続法第43条第5項)
- 却下されたら、取り急ぎ不服の申し立てができること(非訟事件手続法第43条第6項)
原文
50
言い分を聞いてもらう機会
- 第51条
- 借地権がらみの裁判では当事者からそれぞれの言い分を聞く機会が設けられます。
- 2
- 当事者であれば、自分以外の当事者の言い分を聞く機会に立ち会うことが許されます。
原文
51
呼び出した人たちの旅費などを予め支払っていないと
- 第52条
-
言い分を聞く機会とはいえ、呼び出しに応じてわざわざ裁判所まで来てもらうわけですから、その人の旅費や交通費が支払われます。
その費用は、費用等に関する法律にしたがって、裁判所が申し立てをした人に支払いを命じる場合がありますが、予め支払いをしていないと申し立て自体が却下されることもあります。
原文
52
事実関係の調査をされたら
- 第53条
- 借地権トラブルに関する事実関係の調査が裁判所によって行われた場合、よほど大したことでない限り、調査が行われたという事実を当事者や利害関係者に通知されます。
原文
53
言い分が出尽くしたら
- 第54条
- 借地権に関わる裁判で全ての言い分が述べられた時は、これ以上の言い分は出ない、ということを審問の中で宣言されます。
原文
54
裁判に関する書状が届いたら
- 第55条
-
次に該当するトラブルの裁判で当事者になったら、裁判の概要などが書かれた書状が送られてきます。
- 借地の貸主と借り主との間で建物のの種類や構造、規模、用途に関する契約内容の変更について(第17条第1項)
- 借地の貸主と借り主との間で増改築に関する契約内容の変更について(第17条第2項)
- 借地の建物の条件変更に関する借地料変更について(第17条第3項)
- 転貸借の場合の条件変更について(第17条第5項)
- やむを得ない事情による建物の建て直しについて(第18条第1項)
- 建物のオーナー交代について(第19条第1項)
- 貸主自身が建物のオーナーとして又借りしたいと言い出した場合について(第19条第3項)
- 落札した建物の借地権を認めてくれない場合について(第20条第1項)
- 2
- 裁判の概要が書かれた書状に何が書かれていたとしても、裁判自体が確定しなければ何も効力はありません。
原文
55
書状には理由を
- 第56条
- 借地に関する裁判について書状には、裁判の理由が必ず書かれています。
原文
56
裁判で出た結論は
- 第57条
-
裁判所から書状が届くような借地権に関する裁判で出た結論は、その当事者に権利や責任が及ぶことになります。
裁判で結論が出る前に借地や借地権を引き継いだ人にその当事者と同じように権利や責任が及ぶことになります。
原文
57
裁判で支払うべき金額が決められたら
- 第58条
-
次の条文に該当する裁判によって強制的に支払うべき金額が決められたら、それは一般の裁判で若いをしたことと同じ効力を持ちます。
- 増改築の許可に対する賃料の変更(第17条第3項)
- 又借りの場合の増改築許可に対する賃料の変更(第17条第5項)
- 更新後の建て直しに対する賃料の変更(第18条第1項)
- 土地の貸主がその借地上の建物のオーナーになろうとする場合の賃料(第19条第3項)
- 貸主が認めない落札した借地上の建物の許可に対する賃料(第20条第1項)
原文
58
オーナーが買われる期間
- 第59条
-
せっかく裁判所が貸主の代わりに建物のオーナーが替わることを認めてあげたのに、その後6ヶ月以上経ってもオーナーが変わらなければ、裁判所の承認は無効になってしまいます。
とはいえ、貸主にも借り主にもいろいろ事情もあるでしょうから、裁判で認められれば6ヶ月という期間は伸びたり縮んだりすることがあります。
原文
59
不服の申し立てに対しても
- 第60条
-
届いた裁判の概要書に対して期限内に不服を申したるために即時抗告をした場合は次の条文を同じように適用します。
- 筋違いの不服申し立ては却下される(第四十九条)
- 不服の申し立てに対して申立書が送られる(第五十条)
- 不服の申し立てに対する予納金が支払われないと(第五十二条)
原文
60
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第3章 お金を払って建物や部屋を借りる
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